Silver Spoon

ADHD(診断済)、料理が趣味。流産経験あり。妊活予定。

妊娠と薬情報センター

妊娠中はほぼほぼ断薬していたものの、やはり、絶対に薬が飲めない、というプレッシャーは結構きつかった。
飲めないというプレッシャーで余計に眠れなくなったり、落ち着かなくなったり、もしくはそうなってしまうんじゃないかという不安にとりつかれたり。

それで、妊娠と薬に関する専門の相談に通うことを決めていた。
これは流産が決まる前から自分でも探していたし、ADHDでお世話になっている主治医からも勧められていた。

その時のエントリがこれ。

silverspoon.hatenadiary.com

それは虎ノ門の妊娠と薬の相談のHPで、不安だったら相談するように言ってくれた。
虎ノ門の病院がパイオニアで、そこから独立した先生が聖路加にいるというようなお話。
国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターは検討していたと伝えたら、その資料も持っていた。ただ、先生は詳しくないのでレベルやクォリティは知らないとのこと。

結局すぐに流産となってしまったが、流産手術を受けてすぐにパートナーと相談し、国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターに行くことにした。
身体が戻ったら、できるだけ早く次の妊娠も考えているので、早いうちに行っておきたかった。

成育を選んだ理由

成育を選んだ理由としては、もし今後妊活が成功して、実際に出産する病院を選ぶ際には、この病院になる可能性が非常に高いということが第一だった。
どこまで連携するかはわからないが、薬の相談履歴は残るかもしれない。
履歴が残っていれば少しは安心かもしれない、ということ。
あと、どうせここになるのなら、一度この病院を見ておきたかったというのもある。
ADHDに対する偏見は個人の問題もあってそれぞれなのだろうが、多少なりとも様子が分かれば覚悟もできる。

あとは、データを蓄積して他の人の役に立てていくときに、虎ノ門や聖路加の病院よりも(たとえば地方の人とか)広く情報提供できるんじゃないか、と思ったからだ。
相談で得られるデータは誰かのデータで、自分のデータも誰かの役に立ってほしい。
だから、もしかしたらデータの蓄積としては他の病院の方が上だったかもしれないけれど、公益性が高いのはこっちかな、と*1

問診票の送付と病院からの電話

行くと決めたらすぐに、HPから問診票一式をDLして、お薬手帳と見比べながら細かく記入。
主治医の下で相談を受けても良かったが、実際に病院に行くというのも目的のひとつだったから、「妊娠と薬外来」での相談を選択した。
投函すると、数日以内に電話がかかってくるとのこと。

投函したのは8月26日か何かだったと思う。
流産手術後、一週間後の術後検査前に出した。
電話がかかってきたのは8月28日、術後検査の後だった。

たまたまお薬手帳を持っていたのが良かった。
電話で、飲んでいた薬の記載について、さらに細かく尋ねられた。
具体的にどの薬についての情報が必要なのかをきちんと把握する為だろう。
忙しさにもよるだろうが、基本的にはどうやら届いたらすぐに電話してくるようなので、投函してしばらくはお薬手帳を持ち歩いた方が良いかもしれない。


予約は後からでもよかったが、予約自体も混んでいそうだったし、仕事が落ち着いて出張から帰ってくる9月15日で予約を取った。
電話で、何時にどうしたらよいか細かく教えられたが、そのあたりの詳細を書いた紙を、問診票を送った時に同封した返信用封筒の中に入れて後から郵送してくれるとのことだった。

相談当日

特に持ち物は指定されていないものの、お薬手帳と郵送されてきた案内を握りしめて成育へ。
初めてみる国立成育医療研究センターは、可愛らしい病院だった。
外からも、大きな汽車の遊び場があるのが見えた。
子供の為の病院なんだもんなあ、と改めて思った。
診察時間の30分前に来るように指定があったので、その時間に初診受付へ。
問診票には、両親の情報やきょうだいの情報も書くところがあったが、おそらくこれは子供が診察を受ける時の情報なんだろうなと思った。
その部分は特に書かなくても良いと言われたので、書かずに提出。

そのまま、指定された方へ向かう。
研究棟のようだった。
病院内の椅子やオブジェ、配色が可愛らしい。

指定された待合で待つ。
「妊娠と薬外来」と札が書かれた診察室があって、そこには私の前の予約の時間の人を診察中である旨が書いてあった。
待っているうちに酷く不安になって、キョロキョロキョロキョロしてしまった。
怖くて、不安で、ハイテンション気味に。

時間の10分前に、前の方が出てきた。
嬉しそうな表情と、そのあときゅっと唇を引き締めた表情が印象的だった。
相談結果が良かったんだろうなあ、と思いながら、更に待つ。

時間になった。
呼ばれて、パートナーと共に診察室に入る。



……ここからの具体的な話は、センターに迷惑をかけてしまうと良くないかなと思うので、省略。
薬を飲んでも飲まなくても、健康な女性であっても奇形が生じる可能性が世界的にも一定あることをちゃんと説明してから話してくださった。

主治医に相談しているかを聞かれ、最初から妊娠のことは相談していること――その上で薬に関しては、主治医に『妊娠のことは専門でないからこうした専門窓口に相談した方が良い』と言われたこと、『専門ではないが、問題があれば情報は出てきているはずだから、昔から使われている薬の方が安心だろう』とは言われていた、と伝えた。
昔から使われている薬の方が情報が蓄積しているから比較的安心できる、というのは正しいことだと言っていた。
直接のお薬のことよりも、主治医(や、他の診療科の医師)とちゃんと妊娠のことを相談して連携していることが何より大切なことだと言ってくれた。
そういう主治医に恵まれなくて相談に来る人が多いらしい。
これは私もすごく恵まれていることだと思う。


お薬に関しては、電話で確認してもらった薬剤を中心に情報提供を受けた。


結果としては、デパスマイスリーコンサータも、基本的に大きな問題にはならないとのことだった*2
出産時にたとえばデパスマイスリーを飲んでいて、赤ちゃんに移行して一時的に元気がないという事はあるようだが、それも一時的なものだし、あらかじめ服薬情報が伝わっていれば対応できるとのこと。
コンサータは一番情報がないんじゃないかと不安だったが、200名のコンサータを服薬した妊婦さんの情報によれば、問題はみられていないとのこと。
漢方の方がデータがない位だったが、抑肝散加陳皮半夏は昔から使われていて、問題の起きていない薬だから大丈夫だろうとのこと。
これは主治医も言っていたことだった。

もちろん、これまでの蓄積で問題がみられていないからおそらく大丈夫だろう、というお話で、だからこれからも大丈夫、とは確実な話じゃない。
そもそも健康な人でも、薬飲んでいなくても問題が起こることはある。
そもそも高齢だし。

でも、飲めないんじゃないか、間違って飲んじゃったら、という不安は少なくなったから、逆にあまり飲まなくてもやっていけるような気がした。
これは私の性格でもあって、「~~してはいけない」「~~してはいけないのに~~しちゃうんじゃないか」と思っていると余計に気になって辛くなる。
眠れないことそのものよりも、眠れないかもしれないという事に耐えられないというか。

流産のことは、本人としては終わったことだと思っていたけれど、ついこの間のことだったんですね、と確認されたり、自分で改めて口に出したりすると、意外にも涙が出てきて言葉が詰まってしまったりして、びっくりした。
生理がまだ始まってなかったからかもしれない*3


お会計は10,800円。
肩の荷が下りた気分だった。
次に妊娠できるかまだ分からない状況なので、何も始まっていないものの、フライングスタートした妊活がようやくスタート地点に立った気分。
今後の情報提供に承諾していたことから、相談の最後には連絡先を渡された。
妊娠したらその時の薬の状況等、連絡することになる。
自分の情報が次の人に役立つのならば、それは有難いことだ。

主治医へのフィードバック

ちょうど、次の日が通院日だったので、主治医にフィードバックした。
成育を選んだ理由を伝えたら、カルテが一度できているのといないのとでは違うから、将来的に成育での出産を望んでいるならとても良いことだと言ってくれた。

親も心配していたので、親にも薬の影響に関しては大丈夫だと伝えておいた。
次の日だったからフィードバックはスムーズだったけれども、意外に忘れてしまうので、もっとしっかりメモればよかったとは思った。
その意味で、パートナーに来てもらったのは良かったと思う。


料金は安くはないし、面倒くさいと言えば面倒臭いことだけれども、不安に思って急な断薬をしたり、無理をするくらいなら、相談に行くのはありだと思う。
リスクのある薬も、断薬する不利益との天秤の問題だから、とも。
自分でそうだろうと思っていたけれど、ちゃんとそれが単なる思い込みじゃないと分かったのが良かった。

*1:ちゃんと協力関係を築いている可能性も高いので、このあたりは正確な話ではありません。もしそうだったら凄く良いですよね。

*2:あくまで私が受診したときの話、です。さらに飲んでいる量や組み合わせや疾患・障害の内容等によっても指示は変わってくると思いますので、鵜呑みにしないでください。不安でしたら相談を。ちなみにデパスマイスリージェネリックで、デパスは0.25、マイスリーは5mg、寝る前だけに服用です。コンサータは18mgです。

*3:無事10月2日に始まって、ほっとできました。手術の後、丸々1ヶ月こなかった計算。