Silver Spoon

ADHD(診断済)、料理が趣味。流産経験あり。妊活予定。

稽留流産の手術の話

手術前夜から翌々日までの記録。



【手術当日】

【前夜~直前】

前夜は座ると少し痛かったりしたので、寝る前の1時15分にロキソニンを追加投入。
不安で眠れないのが嫌で、マイスリーも飲んだ。

よほど嫌だったのか、朝に歯軋りをしていたらしい。

朝は7時までは水が飲めるので、痛みに弱過ぎるので先にロキソニンを飲んでおいた。

シャワーを浴びて病院へ。
30分以上早く着いてしまい、預り金の3万円を渡して、待合室で延々と待機。
止せばいいのに、この後に及んで稽留流産の手術で麻酔が効かなかった話とか読んでしまう。


予定の時間が来て、しばらくしてから中待合室へ。
いつもの診察室で、また内診。
昨日入れた棒*1を抜いて差し替えるとのことで、やはり痛かった。
別に耐えられないわけじゃないけれども、苦手な痛み。
奥を鈍く、たまに鋭く突かれるような。
抜くときに意外に棒が長かったんだなとびっくりした。

麻酔が効きにくい体質かもしれないという話を伝え忘れたが、パートナーが私が内診から戻る前に先生に伝えてくれていたとのことだった。

それから、二階の病室へ。
部屋は2人部屋で、向かいのベットは使う予定はないとのこと*2
まあ、産院だから他の患者さんと同室にはできないよね…。
実際に、向かいの部屋からはずっと赤ちゃんの泣き声が聞こえていた。
私はナーバスな方ではないから、パートナーと「お母さん大変だねえ」と笑いながら話せたけど、人によってはきついかもしれない。

病室で、背中からもお腹からも開くようになっている手術着に着替えて、体温と血圧を測る。
36.5度。
点滴で電解質を流す。水を飲む代わり。
左上前腕から針を刺したんだが、あんまりにも探されるから不安になった。まあ、内科とかよりやっぱり頻度少ないし、看護師さんも大変だなと思う。

担当の看護師さん*3に、腰椎麻酔で血圧が下がった経験があること、局所麻酔が効きにくい体質である可能性(兄も麻酔が効きにくいらしい)を伝えた。あと、痛みに弱く、朝にロキソニンを飲んだことも。
処置後も痛かったら座薬も使えるから、と教えてもらった。

…しかしこの看護師さん、良い人なのはわかるのだが、お辛いですよね、ちゃんと泣けましたか、とか聞いてくるだけでなく、お腹の赤ちゃんが流産になったのにも意味がある、メッセージだった可能性もあるんですよー、とスピリチュアルなお話をちょいちょい混ぜてくる。
もちろん押し付けてくる感じではなく、統計的なお話の方が納得できる人と、意味を感じることで納得できる人がいる、という感じで、本を渡してきたときも「つらかったら読むのやめてくださいね、もし気が楽になったら」とソフトにくれたんだが…

それがこれ。

ママのおなかをえらんだわけは…。

ママのおなかをえらんだわけは…。

私はどう考えても、統計的に考える方だし、そういうことも多少考えないではないが、ちょっと引いた。
「私に似て気が早かったんだろう」「生きられないとわかってもやってみたかったんだろう」とかは考えたけどね…。
パートナーと2人で、オカルトだ!と言いながらたまにぱらぱらネタとして読んだくらいだった。
これで救われる人もいるんだろうね、という話はしたけれど。

手術前は暇過ぎて、ずっと横になってネットを見ていた。
枕元で仕事をしているパートナーにちょっかいを出しつつ、たまに自分の仕事のメールが行きかっているのをぬるく見ていたが、ついに電話がかかってきたりして、個室で良かったとしみじみと思った*4
でも、気が紛れてよかったかもしれない。

点滴のせいで、水を飲んでいなくてもトイレに行きたくなるから、部屋の近くにトイレがあったのには助かった。

【手術】

12時50分くらいになって、看護師さんと共に点滴台を持って歩いて隣の分娩室へ。
生理用品と生理用ショーツを出入り口近くの適当な棚に置いて、台の上に乗る。
台の上に乗るときに、履いていたズボンとショーツを脱いだ。

お尻の位置と頭の位置を合わせるのがうまく行かなかったが、結局、両足を開いて置いておくための台に合わせることになった。
枕もなし。
指というか爪から酸素濃度を測りつつ、血圧計やらを取り付ける。
顔にも酸素マスク。
最初1人の看護師さんがやっていたが、ぞろぞろと手伝いの人が入ってきて、皆で手術の準備を始めた。

そして、手足固定。
右手を右側に、左手を左側に、両足をそれぞれ台の上に固定。
そんなにぎっちりではないが、ちゃんと固定していた。

脚を台に挙げた状態で、女医さんか婦長さんか、他の女性より立場が上そうな女性が来て、チェック。
先に消毒します、と内線で連絡していて、「消毒します」と股のタオルがペロッと剥がされる。
2回ほど消毒しているうちに、先生がスタンバイ。

麻酔開始。
頭を少し横にした方が良い、というので真上を向いていた頭を点滴のある左側に少し傾ける。
看護師さんが点滴液のところから麻酔を入れているのが見えた。
ちょっと麻酔が効いてきたような気がする。
眼を閉じると、いつもの赤黒い明るいまぶたの裏が、妙に平面的に感じられる。
そこに黒い亀裂の、壁紙のような模様*5が張り付いていて、平面的でこれは面白い、と思っているのが術前最後の記憶だった。


次に気づいたのも分娩台の上だった。
ワタワタしている時に、パンツをはかせてくれたような気がする。
ストレッチャーにヨイショと乗せてもらうのはわかるものの、まだそこまで動けない。
ただ、出入り口近くの棚の上に置いた生理用品とショーツを包んだ布を自分で回収しつつ、ありがとうございます、と言ったのは覚えている。


病室ではパートナーが待っていた。
ストレッチャーからベッドにうつされ、パートナーが御礼を言っている。
お腹は生理痛のような痛みが少しあったが、そこまで痛くなかった。
むしろ生理痛のような痛みは、棒を入れる痛みよりも慣れているから気にならなかった。

麻酔で落ちる時の話を含めてパートナーと少し会話したり、うとうとしたりしながら時計を見たが、本当に13時半だった。
30分で終わって、麻酔もそこで切れるのが凄い。
彼は本当は手術後、麻酔の切れていない私を置いて昼食を食べに行こうと思っていたらしいのに、私が帰って早々に意識があるので行きそびれてしまった。



看護師さんが、赤ちゃんを見るか聞いてきた。
持ってきてもらった。
生理の血の塊のようなものが、手のひらサイズの大きめの瓶に入っていた。
2人で一所懸命探したが、どこに赤ちゃんがいるのかはわからなかった。



看護師さんによれば、2時間ほどしたら歩行訓練をして診察、ということだった。

うとうとしては話をして、携帯を見て、頭を起こさずにそのまま仕事のメールを返したりして、時間が過ぎるのを待った。
お腹の痛みは生理痛程度だったが、きっと麻酔が完全に切れたらもっと痛くなるね、と話していた。
しかし実際には、1時間もすれば痛みもほとんどなくなってしまった。

ショーツはちゃんと持ってきた生理用ショーツを、生理用品付で履かせてもらっていた。
たまに看護師さんが来て出血の様子を確認されるのが微妙に恥ずかしかった*6

点滴をしたまま2時間も寝ていれば、トイレに行きたくなる。
15時半前。
もう少ししたら看護師さんが来て歩行訓練になるはずなのに、トイレに行きたい。
仕方がないのでナースステーションの看護師さんを呼んでもらって、バイタルを外し、血圧検査&検温。
37度くらいだったようだ。
それから看護師さんにゆっくり体を起こし、立たせてもらった。
多少ふらつくが、頭痛も気持ち悪さもなかった。

お手洗いも問題なく済ませられて、16時からの診察まで待つ。
お腹が空いたと言いながら、痛みがなかったお陰で心穏やかに待つことが出来た。

【診察】

しばらくして看護師さんが来て、案内するから着替えて待機するように言われる。
抗生物質を3日分(毎食後)と頓服のロキソニン3錠も渡された。
着替えをして、座って待つ。
再訪した看護師さんに中待合で待つように言われて病室を出て、中待合で待っていたら、スリッパのままだったことに気付く。
パートナーが慌てて取りに戻ってくれた。

診察室に入って、すぐに内診台へ。
脱脂綿が入っていたようだ。全然気づかなかった。
内診台でちゃちゃっと外して、消毒して終わり。

御礼とご挨拶をして、2~3日安静にするように、明日はシャワーを浴びて良い、と言われて終了。
最後にパートナーが、次の子供を望むときにはいつ頃が良いか聞いた。
3か月くらいしてから、とのことだった。

精算は、本当に預り金の3万円からおつりが来た。
インターネットで色々調べた時に、5万円とか10万円とかあったので、これは本当に助かった。
ただ、診断書は1通5000円近くするようだった。
都民共済の様式がまだ届いていなかったし、次回の健診で渡すことにした。

次回検診の予約を取って終了。
絶対グロッキーだと思っていたから、タクシーのつもりだったのに、実際には全然痛くなくて、結局バスで帰ることにした。
前処理のときにタクシーを使えばよかったとしみじみ。

バスで駅まで行って、とんかつを食べた。
思ったより量が食べられなかったものの、美味しい美味しいとたくさん食べて、ほっとした。
バスを乗り継いで帰宅し、途中ちょこっと店を覗きに行けるくらい元気だった。

【帰宅】

帰宅後は2人してさっさと寝てしまった。
パートナーは寝るつもりがなかったらしいのに、コンタクトレンズをしたまま午前3時過ぎまで寝てしまったらしい。
私も抗生物質を飲み忘れて寝ることになるとは思わなかった。



【手術の次の日(土曜日)】

抗生物質と、たまにロキソニンを飲みながら、ひたすら安静にしていた。
暇過ぎて20分置きにパートナーの仕事を邪魔していた。
ちょこっと家の外に出てみたが、そうするとやっぱりお腹が痛い気がして、安静第一なんだなと思う。
日曜日になったら料理していいと言われたので、お買い物を頼んだ。

夜になるとちょこっと鬱っぽくなってきて、ホルモンバランスが変わってきた感じがした。
結局、臭いなあと思いつつ、その日もシャワーを浴びずに寝た。
一日寝ていたのと鬱っぽいのとで、デパス0.25ミリを飲んだ。
そりゃあ色んな要因で鬱になる、と言われながら、寝た。

出血は少し。
夕方にはオリモノに血が混じる位になっていたが、基本的には思ったよりも全然でなかった。
生理程にも出なかった。



【手術の翌々日(日曜日)】

久しぶりに薬を飲んで寝たから、朝は体に力が入らなかった。
ダラダラしてからシャワーを浴びて、午前中は掃除にいそしむ。
たまにベッドで横になったが、動き回りすぎた気もする。
夕方には近所にケーキを買いに行き、甘すぎるケーキに辟易しながら食べた。
それからキッチンにイスを持ちこんで、座ったまま思う存分料理をした。

出血は相変わらずほとんどないので拍子抜けした。
仕事のメールが名指しで着ていたが、夜に少し発熱してしまったので、無視してしまった。
その代り、月曜日の朝は早く出勤して仕事をこなすことにした。

寝る前に、2人でビールを飲んだ。
無事、手術終わった記念。
2人で最後のエコー写真をみたりして、また来てくれるよ、と慰められるなど。

お金の話はあとでまとめる予定。
保険のことも落ち着いてから。
思ったより安く済んだのと、複数のところからお金が出るのとで、プラスになりそうだ。
貯めておいて、次の健診費用にしなくては……。

*1:ラミナリアまたはラミセルだと思う。

*2:あとから確認したら、室料10,000円がちゃんとついていた。確か個室しかない病院だったはず。

*3:名札は助産師になっていた。

*4:電話は私が手術の日だと知っている人から。

*5:動物柄のキリンの模様を、ギザギザの線で表したような模様だった。

*6:ショーツの中に手を突っ込まれる経験はなかなかない。